ボタン屋さんの仕事

ここで言う「ボタン屋さん」とはアパレルメーカーさんにボタンを卸し売りしている業者さん、その中でも特に営業の方を指しています。

アパレルメーカーさんは各シーズン毎にトレンドを考慮した商品作りをされています。従って、各シーズンに展示会を行い、そこに展示されるサンプルによってバイヤーの方が発注する発注数を合計して、そのシーズンの生産量を決定します。

この点が一般に言われる営業マンとボタン屋さんとの営業システムの大きな違いを生んでいるのです。

このページでは、アパレルメーカーの方、洋服を購入される一般の消費者の方、また、ボタン屋さんになったばかりの方、今度ボタン屋さんになろうとしている方にボタン屋さんの仕事を理解して頂くために作ってみました。

このページに書かれていることはボタン屋さんの仕事の全てでは決してありません。どちらかといえばボタン屋さんとして最低限はしていなくてはならないことに過ぎません。

若し、仮に、今、現在ボタン屋さんとして仕事をされている方で、このページに書かれていることを実行されていないという方がいらっしゃった場合、早急に現在の仕事のシステムを改善されることをお勧めします。

これは、私が、過去、ボタン屋さんとして仕事をしてきた上で、得てきた事実なのです。

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ボタン屋さんの仕事を一般的な流れに沿って追ってみましょう。

ここでは、ボタンは染色と接着の工程が必要で、色とサイズが複数あるものと仮定します。

それぞれの項目をクリックすれば詳細な解説にジャンプします。

取引上の確認事項

実際の取引

  1. サンプル過程
    1. サンプル提案
    2. サンプル受注
    3. サンプル発注
    4. 入荷
    5. 染色
    6. 接着
    7. 納品
  2. 展示会
  3. 現物過程
    1. 現物受注
    2. 現物発注
    3. 入荷
    4. 染色
    5. 接着
    6. 納品
    7. 集金

トラブル

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ボタン屋さんは以上のような仕事を各取引先毎、各展示会毎、各製品番号毎にしているわけです。製品番号一つにしてみれば、量的、質的には一人でもこなせる仕事ではありますが、これが同時にいろんなタイミングで重なってくるのが通常ですから、ボタン屋さんの仕事には分業化効率化は欠かせませんね。

また上記の仕事の流れの中でも、実際の取引の「1.」の「a.」〜「c.」、「2.」、「3.」の「a.」〜「b.」、「f.」、「g.」は営業的な業務、「1.」の「c.」〜「g.」、「3.」の「b.」〜「f.」は内部的業務、「1.」の「a.」は戦略・企画的業務、「取引上の確認事項」、「トラブル」は営業部門の全体的業務、というように分類することも可能であり、業務の効率化についてのポイントにもなりますね。

取引上の確認事項

伝票、支払に関する取り決め

サンプル納品の方法

サンプル伝票に関する取り決め

現物商品納入の方法

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実際の取引


1.サンプル過程

a.サンプル提案

そのシーズンの生地・付属品の展示会、ヨーロッパコレクションなどの情報収集。

そのシーズンのボタンの新作ボタン・新作サンプル帳の収集。

トレンド分析、取引先ブランドのデザイン傾向、服の生地・デザインに合わせて、提案商品のピックアップ。

提案商品の価格、デリバリー、クォリティ、取り扱い上の注意点、染色・接着などの加工の有無をチェック。

商品の価格決定。

取引先ブランドのデザイナーに提案。

(以上までをデザイナーがデザイン作業に入るまでに終了)

b.サンプル受注

提案商品の価格、デリバリー、クォリティ、取り扱い上の注意点を取引先と再確認。

現物時点での業務の流れを取り決めしておく。

サイズ、個数、色番号、サンプル納期を確認、染色用見本生地を入手。

加工に要する期間を差し引いて、入荷予定日を設定。

c.サンプル発注

仕入先にボタンを発注。

入荷予定日を確認。

加工日程を組む。

d.入荷

入荷予定日前に、仕入先に、入荷予定日の再確認。

入荷。

商品のサイズ、個数、色番号、価格、仕入れ・入荷伝票を確認。

e.染色

取引先製品番号別、染色の色別にボタンを分ける。

染色業者に依頼、費用、納期を確認。

納期前に染色業者に納期の再確認。

入荷。

個数、色、仕入れ・入荷伝票を確認。

染色堅牢度、色落ち等の検品。問題があれば染色のやりなおし。

取引先にて染色の色合いの検品。問題があれば染色のやりなおし。

現物時点での業務の流れをここで取り決め。

f.接着

取引先製品番号別、サイズ別にボタンを分ける。

接着加工業者に依頼、費用、納期を確認。

納期前に接着加工業者に納期の再確認。

入荷。

個数、サイズ、仕入れ・入荷伝票を確認。

接着強度の検品。問題があれば接着のやりなおし。

現物時点での業務の流れをここで取り決め。

g.納品

取引先製品番号別に梱包。ここで得意先によっては見本品を別途納品するために抜き出す。

納品先(サンプル縫製工場)別に振り分け。

納品と納品済みの連絡。

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2.展示会

日程と、会場を確認。

展示会を訪問。

取引先デザイナー、生産部門の方、営業部門の方と挨拶。ここで、会場の人の入り、売れ行き等の情報を入手。

ブランド、製品によっては、この時点で発注量、納期が決定している場合もある。

各ブランド毎に、自社納入商品のシェアを確認。

今シーズンの取引先でのデザインの流れを再確認。

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3.現物過程

a.現物受注

商品の価格、デリバリー、クォリティ、取り扱い上の注意点を取引先と再確認。

サイズ、個数、色番号、製品納期とボタンの納期を確認、染色用見本生地を入手。

加工に要する期間を差し引いて、入荷予定日を設定。

b.現物発注

仕入先にボタンを発注。

入荷予定日を確認。

加工日程を組む。

c.入荷

入荷予定日前に、仕入先に、入荷予定日の再確認。

入荷。

商品のサイズ、個数、色番号、価格、仕入れ・入荷伝票を確認。

d.染色

取引先製品番号別、染色の色別にボタンを分ける。

染色業者に依頼、費用、納期を確認。

納期前に染色業者に納期の再確認。

入荷。

個数、色、仕入れ・入荷伝票を確認。

染色堅牢度、色落ち等の検品。問題があれば染色のやりなおし。

取引先にて染色の色合いの検品。問題があれば染色のやりなおし。

e.接着

取引先製品番号別、サイズ別にボタンを分ける。

接着加工業者に依頼、費用、納期を確認。

納期前に接着加工業者に納期の再確認。

入荷。

個数、サイズ、仕入れ・入荷伝票を確認。

接着強度の検品。問題があれば接着のやりなおし。

f.納品

得意先製品番号別に梱包。ここで取引先によっては見本品を別途納品するために抜き出す。

納品先(縫製工場)別に振り分け。

納品と納品済みの連絡。

売り上げ伝票発行。

g.集金

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トラブル

トラブル発生

トラブルの詳細な内容を確認。

トラブルを起こした商品の実物を入手。

商品仕入先に詳細を連絡。

トラブル関連データベースに照会。

トラブルの原因を調査。

解決方法を決定。

今後のトラブル回避策を決定。

調査結果を取引先に報告。

社内向けにトラブル報告、解決策、回避策をアナウンス。

トラブル関連データベースに追加。

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