3.ボタンの素材について

ボタンは、それ自身がファッションアイテムであるために、 「風合い」という点からありとあらゆる素材が使われており、 それは他の工業製品と大きく異なる点です。

ただ、問題は他の工業製品との違いではなく、素材のバリエーションが、 そのまま商品クォリティのばらつきになっているということ、そしてそのことが、業界の人々にも、まして、 消費者にも殆どアナウンスされていないということにあるのです。

それは、ボタンというモノにとっての最大の弱点であると言えるでしょう。

そこで、このページでは、ボタンに使われる素材について詳しく述べて見たいと思います。

なお、材料名の隣にあるアルファベット記号は、「ボタンの品質表示に関する素材別統一呼称」に基づく略号です。 続けて英語名も記載しました。

ところで、近年は海外で縫製が行われることも多く、ボタンなどの服飾資材を海外に直送する場合も増えています。しかし、海外への輸出には内容物を表記した送付状を書かねばなりません。問題は、その際に商品の材質をあらわす英語名です。特に天然素材などはワシントン条約とのからみもあり、正確な表記が求められます。このページをご覧いただいてわかるように、 素材の名称は通称であったり、和製英語であったり、また、共通の名称が無かったりします。

しかも、名称、呼称が特定できないために、素材に関する知識の蓄積が非常に困難になっているという事実も見逃せません。

略号だけでなく、英語名の共通化、また、いまだに名称の決まっていない素材名の整備などが求められます。


★左の小さなボタンのアイコンをクリックして下さい。

1.樹脂・プラスティック

2.金属

3.天然素材

4.繊維

5.その他

インデックスに戻る


なお、説明文中の各単語で詳細な説明がリンクされている部分があります。 単語の意味が不明瞭だと思われた際にはご利用下さい。

ご使用のブラウザの「戻る」ボタンをクリックして頂ければ元の説明文に戻れます。


1.樹脂・プラスティック素材

一般に樹脂(殆どの物質はそうなのですが)は高温で柔らかく、弾力的になり、低温で硬く、もろくなります。 これは温度の状況下によって製品の耐久性が 大きく変化してしまうという弱点であります。


ラクト・カゼイン(CS:casein)

この素材は樹脂素材の中では一番ポピュラー、かつ息の長い素材です。

プラスティックとして分類されるのですが、 その材料は意外なことに牛乳なのです。 牛乳から脂肪分を抜いて作った蛋白質の粉末(事実上、脱脂粉乳とあまり変わりがありません)から作ります。

実は近年、この材料を使用した繊維も開発されました。シルクを模しています。

遠くニュージーランドから輸入されたレンネットカゼイン (材料をこう呼びます)に顔料、水、パールエッセンス(奥行きのある光を出すためのものです)を 加えて練り上げ、抽出機から棒状に押し出します。 この時点では柔らかくてチーズのようなのですが、数分で硬くなってきます。

実際には腐ってしまわないように水槽である程度固めて、 機械で太さを整えて、そのあとで輪切りにして (この切ったものをブランク、タブレットと呼びます) もっと硬く角質化するためにホルマリンに漬けます。ところがこのホルマリンが浸透するには1ミリで4,5日もかかり、 もし、材料がきれてしまったら生産には大変な時間がかかることになります (実際はいっぱい作られているので殆どそういうことはありません)。

角質化したら水洗いして一週間から10日間、 乾燥させ熱風でさらに乾燥させて、やっとそこから切削加工に入るのです。

この素材は、蛋白質が主成分なので吸水性があり、染色には最も良い素材なのです。 他の素材と比べて発色が格段に良いのです。 しかし、この吸水性はまた、濡れた状態で長時間置くと、壊れやすくなる、 柔らかくなる等のトラブルの原因でもあります。 また水分を吸っているときは染色の色落ち等もおきやすくなるのです (洗濯機に服を濡れたまま置くのは良くないんですよ)。

また、材料を作る段階でホルマリンを使っているので子供服には使わないことになっているのも、 意外と知られていないことなのです。

このページのトップに戻る


ポリエステル(UP:polyester)

一般にポリエステルというと繊維を指すのですがボタンに使われるポリエステルは不飽和ポリエステルと呼ばれるもので、液体の熱硬化性樹脂なのです。シャツ等に使われている小さなボタンは殆どポリエステルですね。

一般的には棒管法という方法で製造されます。これは各サイズのボタン用に作られた管の中に着色した液状のポリエステルを流し込み(この時点で柄、模様も出来るのです)硬化させたものをカットしてブランクを作ります。

また、棒管法以外にも、大きな回転する円筒に流して遠心力で板状に作り、機械で打ち抜いてブランクを作ったり、浅くて広いバットに流して小さな板状に作ったり、また、シリコンゴムの型に流し込んで、立体的に作ったりと、幅広い材料でもあります。

染色も可能な素材です。

このページのトップに戻る


ナイロン(PA:nylon)

このナイロンも繊維とはちょっと違ったもので、弾力性のあるプラスティックという感じのする素材です。このナイロン(ポリアミド)という樹脂は歴史的には絹の代用品としてストッキングに使われたように蛋白質と似た性質があります。具体的には、ラクトと同様の染色染料が使用出来る、若干の吸湿性がある、等です。

染色性、発色も良く、生産性の高い素材なので製品の価格も抑えられ、いいことばかりのようですが、アイロンの熱にはさすがに弱く(熱可塑性樹脂と言います)、注意が必要です。

インジェクション製法で生産される素材です。

また、塗装を施して水牛ダッフルボタンや皮革ボタンに似せた製品は天然素材より安価取り扱いが容易なため、重宝されます。

このページのトップに戻る


アクリル(PMMA:acryl)

非常に透明度、耐久性の高い素材で、水槽等にも使われるのですが、実は、戦闘機のコックピットを覆うガラス、あれもアクリルなのです(現在の最新鋭機はそうじゃないと思いますが)。高い透明度とガラスよりも高い対衝撃性はまさにうってつけですね。そのせいか、現在、透明ボタンは「風防ボタン」などど俗に言われています(つや消しのくもりガラス風のものを指す場合もあります)。

ただ、アクリルは染色しづらく、光熱で煮沸すると変形したり(熱可塑性樹脂なのです)、パークロルエチレン、トリクロルエタン、フッ素などを使用したドライクリーニングに弱い(石油形ドライクリーニングの指定をして下さい)、防虫剤のガスに溶けてしまう、などの欠点があります。

一般にインジェクションで製造されますが、硬質のものは、切削加工で作る場合もあります。

このページのトップに戻る


ABS(ABS:ABS)

プラモデル(特にモデルガン等)にも使われる対衝撃性の高い素材です。電気的性質があるためメッキが出来るプラスティックなので、金ボタンなどに使うと、大きくても軽いという非常に使いやすいものになります。

熱可塑性樹脂なのでアイロン等の熱には注意が必要です。

殆どの場合、インジェクションで作られます。

このページのトップに戻る


ユリア樹脂、尿素樹脂(UF:urea)

非常に丈夫で薬品にも強い素材です。水牛の角大理石などの天然素材の柄、模様、風合いを出す為に開発された素材です。若干の吸水性があり、水分を含んだ状態では壊れやすくなってくる素材なのですが、染色は不可能な素材です。

材料の粉末に水と顔料を加えて粘土のように練り上げ、バームクーヘンのように巻いて柄を作り、押し出し機で棒状にしたものをカットしてタブレットを作ります。これを圧縮成形機に入れて熱を加えて、ボタンの形にします。

このページのトップに戻る


エポキシ樹脂(EP:epoxy)

市販されている2液混合タイプの接着剤がこの樹脂を使ったものです。パッケージをご覧になればエポキシ系樹脂と記載されているはずですから、気づいたときに見てみましょう。

接着剤として使われているだけにその接着性はプラスティックの中でも抜群で、単独でボタンの素材として使われることはありませんが、ボタンの一部分に流し込んで、七宝焼き風のボタンを作るのに使われます。

接着剤を使われる方はご存知だと思いますが、硬化する際に熱を出す、熱を加えると硬化が速い、硬化しても体積が減らない、等の特徴がある素材です。

また、ボタン、服飾附属品、アクセサリーの業界では、単に接着剤としても広く使用されています。アクセサリーやボタンが壊れたら、エポキシ樹脂系接着剤を使用すれば大概、なんとかなります(笑)。

ただし、やはりこの素材も万能ではなく、高熱(例えば沸騰するお湯に入れてしまう等)では急激に接着性が低下したり、低温下(冬の気温ぐらいでしょうか)の状況では衝撃に対して弱いなどの特性もあります。

この素材は染色が可能です。

このページのトップに戻る


その他のプラスティック素材

上記のプラスティック以外にも、まれに使用される素材として以下のようなものがあります。

ポリウレタン

染色不可ながらポリエステルと同じように注型で生産でき、ポリエステルよりも若干安価です。

アセチ(アセテート:CA:acetate)

国内では使われていませんが、輸入ボタンで見られます。熱に弱いのが欠点です。

ゴム

ちょっと資料が手元にありませんので、本当にゴムなのかシリコン樹脂なのか、また、ゴムのような風合いの他の樹脂なのかは判然としません。カジュアルウェア、スポーツウェア系の製品に使われるようです。

このページのトップに戻る



インデックスに戻る

2.金属素材

金属というと非常に丈夫なイメージをもってしまうのですが実際には非常に丈夫な金属というのはさして多くはないのです。

耐熱性では鉄、銅、銀、金、対腐食性では金、アルミニウム、ステンレススチールなどの合金、という具合に、殆どの場合、ボタンの素材として使用されていないものが殆どなのです。

このページのトップに戻る


キャスト(MC:cast)

ここで言うキャストは型に流して作る金属素材だと考えて下さい。

ボタンの素材は製法と密接な関係にあるのですが、決して1対1の関係ではありません。製法と素材の両方の知識がないとその関連性はなかなか掴みづらいと思われます。

キャストの中にも、基本的に、

の2種類があります。

このページのトップに戻る


シリキャスト、メタルキャスト、キャストメタル(MC(S)英名不明です)

一般に「キャスト」の一言で呼ばれている素材です。金属の中では比較的融点が低く、ゴム型キャスティング製法で製品化されます。

主な成分はで亜鉛、アンチモニー等が若干含まれる合金です。その中でも錫と亜鉛の比率(錫の多さだと考えて下さい)で、

に別れます。

このページのトップに戻る


ハイメタ、ハイキャスト(MC(H):high cast(この英名は和製英語と思われます))

キャストの中でも特に錫の多いものを指して言います。但し、その比率については工場、メーカーによって様々で、70%〜97%と幅広く、確定できません。

錫が多いキャストの最大の利点は軽さです。しかし、若干融点が低いことと、価格が高くなることが欠点です。

このページのトップに戻る


中メタ

これはハイメタとそうでないもの、そしてその中間ということで便宜的に呼ばれている名前と思われます。特性は中間と考えて差し支えないでしょう。

このページのトップに戻る


ロウメタ

これも「ハイメタではないもの」という程度の意味合いだと思われます。

鉛の比率が多く、重く耐久性に欠けるという欠点があります。従って最近では定番的な製品には、まず使われません。しかし、鉛の比率を上げれば価格が下がるということで緊急待避的に使われる素材です。

このページのトップに戻る


亜鉛、亜鉛ダイキャスト、ダイキャスト(MC(D):

素材としての亜鉛が一般にダイキャスト製法で使用されているために、混用されています。

亜鉛という素材は融点が高く扱いにくい一面があるのですが、軽く丈夫なので金型使用のダイキャスト製法に使われています。

丈夫な素材ということでバックルなどの力がかかりやすい製品に使われます。

但し、金型のコストをペイするほどの生産ロットが見込めないような場合は、シリキャストとおなじようにゴム型を使用する場合もあります。しかし、亜鉛というのはきめの粗い素材ですので、あまり繊細なデザインのものはゴム型ではできません。また表面が滑らかでないということはメッキにも不良が出やすく、ゴム型で作る場合の欠点についても注意が必要です。

このページのトップに戻る


真鍮(MB:brass)

真鍮は銅と亜鉛の合金で銅の比率が高いものは真鍮ではなく黄銅と呼ばれ、七宝焼などで使用されます。銅の比率が高い程丈夫で融点が高くなります。

真鍮は丈夫でかつ腐食・錆に強く(表面は酸化しますが侵食性の錆にはなりにくいのです)、また展性もあり、メッキ性もよいので、幅広く使用されます。

展性を生かして薄いテープ状の真鍮をフリクションプレスで打ち抜いてかぶせボタンにしたり、挽き物で精度の高いパーツを作ったり、鋳物(砂型で作るキャスティングの一製法です)でバックルを作ったりします。

但し、上記の中で鋳物砂型を使うために、型のきめの粗さがネックになって、細やかなデザインのバックルは作れません。

このページのトップに戻る


アルミニウム(AL:aluminium)

皆様もご存知のように非常に軽く加工しやすい金属です。しかし、加工のしやすさは、耐久性が万全ではないということでもあります。

電気的性質はあまり良くなく、メッキは若干難しい金属でもあります。

また侵食性の錆が出ないという点でも扱いやすい素材です。

ボタンとして使われる場合は、その冷たい色合いを生かすように、挽き物として使われます。

また、展性がある素材なのでフリクションプレスくるみボタンの金具にします。

非常に融点が高くキャスティングは難しいのですが、まれに砂型鋳物で製造されることもあります。

軽さを生かしてチェーンの素材としても使われますが、メッキ性が良くないので、メッキの替りにアルマイト加工というある種の着色でメッキ的な色合いを出します。

このページのトップに戻る


銀(AG:silver)

貴金属の銀です。メッキものはまた、別になります。非常に融点が高くロストワックスで作られる場合が多いようです。

ボタン等で使われる場合は、非常に高価な金属なので一般に飾りボタンとして使われます。

銀は空気中の亜硫酸ガスで表面が黒く酸化しやすく(酸化銀:俗に言ういぶし銀ですね)、表面に保護塗装を施すのが一般的です。

このページのトップに戻る


非常に丈夫な金属ですが、第二酸化鉄(俗に言う赤錆です)が侵食性の錆であり、また、衣服に付いてしまった場合、殆ど染みをとることは不可能なので、一般に服飾附属品には使われません。まれにバックル等で使われている場合がありますが、製品の管理には注意が必要です。

このページのトップに戻る


その他の金属

上記以外の金属では、まれに(丈夫ですが融点が非常に高く、生産が難しいのです)、(ピューターと呼ばれ、バックル等に使われますが、柔らかく、表面がすぐ酸化して曇ってしまうのでボタンで使われることは殆どありません)などがあります。

いずれにしても、服飾附属品として使われる金属は、融点等の生産性に関する要素、硬さ等の物理的耐久性、対腐食性等の科学的耐久性メッキ性等の制限と価格、風合いなどのバランスが取れたものが使用されるのです。

このページのトップに戻る



インデックスに戻る

 

3.天然素材

天然素材は、その独特の風合いと、ある種の希少価値を以って評価される素材です。しかし、人工素材でないということは、その生産性と品質の安定性に自ずから限界が生じるということでもあります。特に吸水性が若干でもある素材は、色素が水分で染み出すために、衣服を汚染しやすく、特に注意が必要です。

当然、自然界に存在する材料の中でも比較的に丈夫で生産性の高いものがボタンの素材として使われてきましたが、やはり人工素材のようにはいかないのです。

ボタンに使われる天然素材は、興味深いことに、工芸品としてのナイフの柄に使われることが非常に多いようです。

天然素材には

など、非常に多種多様なものがあります。

このページのトップに戻る


貝(SH:shell)

貝はボタンに使用される天然素材の中でも最もポピュラーな素材と言えるでしょう。独特の光沢が高級感を醸し出します。貝の中でも高価なものは漆器や工芸ナイフの柄などにも使用されます。

天然素材の中ではポピュラーなだけに流通、品質の安定性も高いのですが、人工素材のようにはいきません。しかも近年、環境汚染のためか、生産量が漸減しているという情報もあります。

また、貝ボタンは業界内において価格のバロメーターとされることが多く、貝ボタンが安い業者に発注が流れることとなり、貝ボタンの価格競争は非常に厳しく、貝ボタンの価格はこの数年で大きく変化しました。その反面、薄っぺらな貝ボタンや、壊れやすい貝ボタンなどの品質が低い商品も出回ってしまいました。

しかし、国内ボタンメーカー大手のアイリスが高瀬貝の養殖実験に成功したという話もあり、将来に期待がかかります。

貝は旋盤で丸くくり貫き漂白した後、ボタンの形に切削塩酸で表面をとかして滑らかにして、「ガシャがけ」(かごの中にロウを染み込ませた竹のチップと一緒にボタンを入れて回し、つやを出すこと)をして磨きます。

貝殻の主成分はカルシウムなどのため、基本的に染色は出来ません。しかし、漂白の工程を省くことでナチュラルなベージュっぽい色合いを出したり、スモーク(但し、若干割れやすくなるという話もあります)をかけてグレーっぽい色合いを出したりもします。また、特殊な技術を持った少数の業者は貝ボタン等の染色も出来るようです。

代表的な貝には、

等があります。

一般に貝ボタンの価格は「メキシコ、白蝶、黒蝶、茶蝶、高瀬」と言われてきましたが、最近では必ずしもそうではないようです。

なお、貝ボタンの英語名につきましては仲内(香港)有限公司橋本様から電子メールにてご指摘頂きました。
HP上からではありますが、ご協力に深く感謝致します。

このページのトップに戻る


高瀬貝(SH(T):Trochus)

高瀬貝はボタンに使用される貝の中では最も一般的な貝です。製品化された高瀬貝は若干、黄色みがかった色をしています。

高級品のシャツなどにボタンとして使われている貝は殆どが高瀬貝です。

高瀬貝は巻き貝で、そのため、ボタンとしてとれるサイズには限界があり、大きさで23o、厚みで2.5oが一般的な限度です。また、高瀬貝はあまり大きくならない種であるため、23oサイズのものは価格的にも高価です。

但し、厚みに関しては、を使用することで、サイズ、色合いに制限があるものの、5o近い厚みの製品が作れます。

また、材料の(貝の外側です)を使うと、赤色、緑色の斑点が現れます。

このページのトップに戻る


白蝶貝(SH(W):Mother Of Pearl)

白蝶貝はボタン用の素材の中でも最高級品と言われるものの一つです。シャツ用のポリエステルボタンの殆どが、この白蝶貝ボタンを模していると言っても過言ではありません。

製品化された白蝶貝ボタンは、他の貝とは光り方が違い、純白の光沢を放ちます。

白蝶貝は二枚貝でボタンに使われる貝の中では比較的大きく成長します。しかしながら、産出量の少なさで、価格は非常に高価な材料です。

このページのトップに戻る


黒蝶貝(SH(B):M.O.P.Black)

黒蝶貝はグレーからグリーン系の光を放つ材料です。

黒蝶貝は二枚貝ですがあまり大きくはなりません。一時は非常に高価な材料でしたが、近年は必ずしもそうとは言えなくなってきています。

側(貝の表側)を使用することもあります。

このページのトップに戻る


茶蝶貝(略号不明です:M.O.P.Brown)

茶蝶貝は明るい茶系の光を放つ材料です。

茶蝶貝は二枚貝ですがあまり大きくなりません。一時期、ほとんど出回らなくなっていましたが、近年、求められる商品のバリエーションが増えたためか、また出回るようになりました。

このページのトップに戻る


アコヤ貝(略号不明です:Akoya,Agoya,Pearl Shell)

真珠を作る貝の一種です。一般に貝ボタンに使用される貝を真珠母貝といいますが、真珠を作るのはアコヤ貝一種だけではなく、また、ボタンに使用される貝も多種にわたるため、真珠母貝という名称は非常にややこしいと思われます。

ボタン用の貝としては比較的に安価な部類に入りますが、貝殻が平坦な形ではなく、また厚みにも限界があるため、湾曲した薄いボタンになります。

このページのトップに戻る


アワビ、メキシコアワビ、メキシコ蝶貝

アワビとメキシコアワビは別物なのですが、実際にはメキシコアワビを指す場合が殆どのようです。「磯のアワビの片思い」という言葉にあるように、実はアワビは巻き貝なのですが、形が特殊なために、割と大きなボタンを取ることも出来るのです。

また、アワビが巻き貝である以上、「メキシコ蝶貝」という二枚貝をあらわす名称は間違いなのですが、通称としてとおってしまっているようです。

この貝はグリーン系を中心にいろいろな色の光を放ち、非常にゴージャスなイメージの材料です。

漆器、工芸品、ナイフの柄などにも「アバロン」と呼ばれてよく使われています。一時期は貝ボタンの中でももっとも高価だったのですが、最近はどうでしょうか。

このページのトップに戻る


角、骨(HO:horn)

この場合の英名は角を表わしていますが、骨の類もこの分類に入ります。水牛角のボタンというのは木の実や貝を使ったものに次ぐ歴史の古さがあると言われます。

ボタンの素材としてはポピュラーな部類です。そのため、単価のバロメーターにされやすく、価格競争が激しくなることの多いボタンです。

高級紳士服によく使われます。メーカーによって3色から十数色の色展開で販売されますが、天然素材なので色のバラツキは避けられず、色分けがシビアで色数が多いものほど高価になります。色は薄い色ほど数が少なく高価です。

材料の表面を削り落とさず、その風合いを残した製品は特に皮付きと呼ばれます。

角の類を含め、以下のような種類があります。

このページのトップに戻る


水牛角

水牛素材は東南アジア産のものが一番ポピュラーです。角を輪切りにしたものをくりぬいてブランクを作ります。

また、角の先の方はダッフルボタンになります。

このページのトップに戻る


インド水牛

東南アジアの水牛と品質的には変わりありませんが、色が白色系なので珍重されます。しかしながら絶対数が圧倒的に少なく、高価なものになります。

このページのトップに戻る


オランダ水牛

べっこうに似た半透明の水牛素材です。特に絶対数が少ない水牛で高価になりがちです。

東南アジア水牛やインド水牛と異なり、角の中が空洞になっている水牛です。従って、ブランクの作り方も異なり、空洞の部分を切り開いてスチームでプレスし、板状にしてから、ブランクを作ります。こうして作ったブランクには筋状の模様が見られます。

また、角の先の部分はある程度つまっているので輪切りにして使用します。こちらは黒褐色の斑点が見られます。

このページのトップに戻る


スタッグホーン

俗に言う鹿の角です。特徴のある表面の風合いを残して高級ナイフの柄によく使われる材料で、ボタンに使う場合は高価なものです。

このページのトップに戻る


ラクダの骨

カジュアルなイメージのある素材です。春夏シーズンにはよく用いられます。また、アクセサリーには非常によく使われます。

技術を持った業者には染色をしたものを製品とするところもあります。

このページのトップに戻る


水牛の蹄(ひづめ)

昔は角よりもよく使われた素材だそうです。べっこうに似た半透明の色をしているものから、黒褐色のがあるもの、黒褐色のものまで、色があります。厚みに限度があり、大きいもので5o前後が限界のようです。

水牛の蹄は奇麗にとると靴のような形をしており、そこからくりぬいて作ります。

このページのトップに戻る


皮革(LE:leather)

皮は一般にクローム仕上げ(クローム酸でなめすソフトな仕上げ方法で主に衣料用皮革です)とタンニン仕上げ(タンニン酸(シブ)でなめすハードな仕上げ方法で、主に一枚仕立てのベルトやバッグに使われる皮革です)の二種類がありますが、ボタンに使用されるのはタンニン仕上げの皮革です。

皮革ボタンは、皮をテープ状にして編んだバスケットボタンと、厚い皮にプレス加工で柄、模様などを打ち、表穴ボタンにしたり、裏に真鍮の金属足をつけたりした、一枚タイプのものがあります。

また、塗装をかけたり、耐熱防水加工などを施したものもありますが、一般に皮革は水分に弱く、濡れると色落ちする場合があるため、取り扱いには注意が必要です。

ツイードのジャケットなどの英国風高級紳士服によく使われるボタンですが比較的高価で、塗装を施したナイロンのボタンで代用されることも多いようです。

このページのトップに戻る


ナット(NU:nut)

木の実を使用したボタンは最も歴史の古いボタンですが、現代に使われるナットボタンは、多くの場合、その当時とは使われる素材も、使われ方もかなり異なります。

アルマーニのスーツやジャケットに使われていることは非常に有名ですね。

一般に植物素材は吸水性がありますが、アクが染み出て、衣服を汚染するため、水分は厳禁です。

素材表示でナットボタンとされるものには以下のような種類があります。

 

このページのトップに戻る


アイボリーナット

一般にナットボタンと言う場合はこのアイボリーナット素材のボタンを指します。

原料は南米エクアドルで産出するタグワ椰子の実で、小さなジャガイモのような形をしています。薄い褐色の皮に覆われたごく淡いクリーム色をした素材です。この実をスライスして、丸くくりぬいてブランクを作ります。

専門の業者が染色をして多色展開で販売されていますが、染色の時間的耐久性は低く、半年もすれば色褪せが起こり、変色し始めます。しかしながらこの変色を素材の特色として、とらえる場合もあり、アルマーニなどの有名ブランドでもよく使用されています。

薄皮を残したまま製品化されたものは通称皮付きと呼ばれ、カジュアルなイメージがあります。

また、南米で、コカインの生産が世界的な問題になっていますが、農家でのアイボリーナットの生産を奨励することで、コカインの生産を抑えようとする動きもあり、このことについては日本の支援もあるようです。意外なところでボタンも役に立つものですね。

このページのトップに戻る


ココナッツ

俗に言う椰子の実の皮から作ります。ココナッツミルクを抜いた椰子の実の表面についている繊維をはぎとり、丸くくり貫いて作ります。ボタンに使える部分の厚みは3oくらいが一般的な限度のようです。また、椰子の実そのものが長い部分で20cmから25cmくらいが大きさの限度になるため、大きい製品を作るとどうしても表面が丸く湾曲したものになります。

濃い褐色の中にクリーム色の小さな繊維の斑点が見える素材です。また内側の淡い色の繊維を残したまま製品化したものは皮付きと呼ばれます。

素材の色が濃いだけに水分を吸うとアクが染み出て、衣服を汚すため、プレスなどにも細心の注意が必要です。アク落ちを防ぐ加工法もあるようです。

比較的に安価な素材のため、安価なニット製品に使われ、ボタンも安物のイメージが長くつきまといましたが、一時期のカジュアルブームの後は、カジュアルイメージの天然素材の一つとして、注目度も変わりましたね。

ボタンのほかにはバックルやアクセサリーパーツとしても幅広く使用される素材です。

このページのトップに戻る


木の実

最も歴史が深いボタンです。ただ、現代ではボタンとして使用されることは非常にまれです。

花梨、桃、などの種など、多種ありますが、あまり流通はしていません。

アクセサリーパーツとして使われます。

このページのトップに戻る


ウッド(WO:wood)

民芸品などでも木製のものが多いように、本来、加工しやすい素材でもあり、ウッドのボタンもいろいろとあります。その材料となる木の種類はいろいろとありますが、その多くは広葉樹だそうで、東南アジアからの輸入だそうです。

ボタンやアクセサリーに使用されるウッド素材は、必ず、ある程度の硬さときめの細かさがあるものが使用されます。なぜなら、製品の耐久性と加工精度を出すには柔らかくきめの粗いものでは無理があるからなのです。

ウッドというのは植物繊維の素材ですから、水分を吸ったときに、繊維内の色素(アク)が染み出てくることは避けられず、殆どの場合、製品にはクリアーの塗装がかかっています。ウッドの風合いを損なわないために、塗装がかかっていない製品もありますが、その場合はスチームプレスなどは衣服を汚染するため、厳禁です。

ウッドのボタンは切削加工で製品にします。

ウッドには以下のような素材が主に使用されますが、木の種類が異なれば風合いも異なり、量的には多くはないのですが、非常に多種の木が使われます。

このページのトップに戻る


ツゲ

日本国内で、古くから櫛に使われてきたように、非常にきめの細かい木であるため、丈夫な素材です。表面も丁寧に磨き上げるとある程度のつやを出すこともできます。

ウッド素材の中では色がうすい方なので、ウッド素材の製品で、多色展開している場合には、色のうすいものはツゲである場合が多いようです。

このページのトップに戻る


黒檀

国内ではお仏壇に使用されたり、欧米では銃器のストックやグリップパネル、工芸ナイフの柄などに使われる、高級感のある、高価な素材です。

ウッド素材の中では最も黒い材料の一つでもあり、要望も多い素材ですが、素材感を出すために塗装を省略すると濃い色のアクが出て、衣服を汚染するため、現在は使用量は減少してきています。

代用品として、合板を黒く染色したものが使われる場合が多いようです。

このページのトップに戻る


紫檀

黒檀と同じような使用目的で使われることが多い材料です。若干ですが黒檀より価格が安いようです。

色は名前のように紫色をしているわけではなく、濃い赤褐色です。

このページのトップに戻る


オリーブ

実が食用に、木がボタンに、と、非常に有用な木ですね。

ツゲよりも若干濃い色をしていて、細く褐色の年輪(直感的の想像するような、きっちりとした模様ではありません)が広い間隔で見えるため、ウッドらしい素材感のある材料です。

このページのトップに戻る


タガヤサン

ボタンの材料としてはかなりきめの粗い素材ですが、野趣があり、春夏シーズンのカジュアルな製品に似合う素材です。

濃い褐色に黒っぽい年輪が細かく見えます。

このページのトップに戻る


合板(WO(P):英名不明です)

実はウッド素材としては最もポピュラーに使用されています。非常に薄く(1oくらい)加工した素材にフェノール樹脂をしみこませて、貼り合わせ、材料とします。

薄い材料を重ねてあるため、年輪状の模様がはっきりと見えて、製品に加工したときにウッドらしさがでます。

耐久性も合板は高く、ポピュラーに流通しているため、ウッド素材の中では比較的安価な方です。

製品は殆どの場合、塗装がかかっています。

このページのトップに戻る


バンブー・竹(BA:banboo)

グッチでバッグの持ち手やファスナーの引き手、また他でも、バックル、トグルボタン、傘のハンドル等に使われる非常にポピュラーな素材です。

竹ひごがそうであるように、竹は熱を加えて曲げることが出来るので、幅広く使われているんですね。

製品に使われる場合、直径が1cm前後のものがよく使われ、殆どの場合、ふしをデザインのポイントにしていますが、そのためには、使用される竹の年齢(植物は年齢と言うのでしょうか?:笑)が限定され、またふしの間隔があまり広いと無駄が多くなってしまいます。

従って、材料となる竹は国内では九州地方のものが使われるようです。

依然、竹が大ブームになったときは、国産の竹が底を尽き、輸入で大変だったこともありました。

製品は多くの場合、バーナーで表面に焦げ目を軽くつけて風合いを出したものが使われます。

但し、竹も植物であり、水分を吸ったときにアクが出て、服を汚染する可能性は否定できず、製品には殆どの場合、塗装がかかっています。

このページのトップに戻る


ストーン・石(ST:stone)

ここで言うストーンとは所謂天然石を指し(主に火成岩、変成岩、一部の特殊な堆積岩です)、チェコやドイツ製のクリスタルガラスのパーツの通称のことではありません。

もちろん、道端に落ちているような石が材料として使われているわけではありませんが(笑)。

ストーンは、他の素材に比べて非常に硬く、丈夫なのですが、それだけに加工が難しく高価になります。

また、強い衝撃には、やはり、割れたり、欠けたりします。他の素材に比べて重いという欠点もあります。

大まかに、ストーンは以下の2種に大別されます。

このページのトップに戻る


リバーストーン

この呼ばれ方はあまり幅広く使われてはいませんが、ここでは便宜的にこう呼びます。

直訳すると川石ですが、ある特定の地域(国内、国外に関わらず)で、川などにある石には、面白い模様が出ていることがあります。これを材料として使っているものは、こう呼ばれていたりします。

多くは、火成岩、変成岩なのですが、一部、堆積岩も、中に古代の植物や珊瑚などの化石が模様となっているものなどが材料として使われます。

特にもろいものを除いて、岩石の種類がそのまま素材の種類ではありますが、加工が容易であるかどうか、また入手が安定的に可能かどうか、という点で、材料が限られています。多くは東南アジアからの輸入品のようです。

このページのトップに戻る


半貴石

宝石まではいかないまでも、美しく、入手が簡単でないもの、というような意味合いでしょうか。そちら方面の資料もなく、勉強不足で(すみません)正確な定義は現在不明です。

代表的なもので水晶、ローズクォーツ、ヘマタイト、オニキス、カーネリアン(縞メノウ、だったかな)、トルコ石(ターコイズ)、などがあります。

単体でボタンになることは滅多にありません。価格と加工のしやすさの問題と思われます。ただ、ボタンのパーツとして、また、アクセサリーパーツとして使われます。

このページのトップに戻る



インデックスに戻る

4.繊維(FA:fabric)

ボタンの素材として、略号があるにも関わらず、繊維と表示される製品はあまり多くはありませんが、「FA」の略号で指し示すものが「生地全般」とされており、その中に分類されるべきものがありますので、ここでは分類の一つとして扱っています。

繊維のボタンは、服地が(当然)繊維製品ですから、服とのマッチングが良く、ボタンの主張が強すぎないので、安定的に使われています。

このページのトップに戻る


くるみ(包み)ボタン(CV:covered)

ボタン関連の業界に入ったばかりだと木の実のボタンと勘違いしそうなのですが「包みボタン」と書いて「くるみボタン」と読みます。

服地を使って作るボタンであり、服そのものとのマッチングが一番いいボタンです。以前はデザインバリエーションも非常に少なかったのですが、昨今はかなりデザインが豊富になって、商品としても面白味のあるものになりました。

等々、豊富にあります。

現在は上下二つに分かれたアルミ合金の金具(というよりパーツですね)を、打ち具を使って、生地を挟み込みながら組み合わせて作られています。

そのため、生地が薄いとアルミの金具が透けてしまい、服地と若干の色の違いが生じるため、アパレルさんから、服地にあった芯地を頂くことが必要です。また、希に淡い色の生地の場合、芯地が入手できないと、紙を芯地替わりに使い、洗濯の際に紙が溶けたようになって服を汚したり、ボタンそのものが傷んだりすることもあります。

一般に、くるみボタンを作る際には、残布を使用するのですが、くるみボタンのサイズと、それに必要な服地のサイズの関連を認識していないと、服地が不足するという事態をまねいたり、不良品を出してしまった場合も服地不足を招きます。従って、生地の量的な管理はくるみボタンを扱う上でのポイントの一つであります。

昔は、木などで作られた芯に、生地を手作業で纏りつけていました。

このページのトップに戻る


コードボタン・紐ボタン(CO:code)

殆どの場合、コードボタンとして一つに分類されていますが、その製法などから、取り扱い方が分かれるため、いくつかに大別して考える必要があります。

このページのトップに戻る


組み紐ボタン

組み紐等を巻き付けて作ったボタンです。芯は樹脂のインジェクション製法で作られたものが多く、紐は、ナイロン、レーヨン、ポリエステルが比較的多いようです。紐が黒の場合を除いて、殆どの場合、紐を染色して使用するのですが、染色後の洗浄色止めが不十分だと繊維に染み込んだ染料が出てきて、衣服を汚染する場合があったり、繊維と芯の素材が異なるため、芯が見えるようなデザインのものだと、染色に注意が必要になります。

フォーマルなイメージの服に合わせて使われることが比較的に多いようです。

このページのトップに戻る


レース編みボタン

レース編みしたものをかぶせたボタンです。レース部分は、レーヨン、コットンが比較的に多いようです。芯は樹脂のインジェクション製法で作られたものが多く、レースの隙間から芯が見えているため、芯とレース糸の素材の違いを考慮した染色をしないと、芯とレースの色が違ったり芯が染まらなかったり、というトラブルになります。

ニット製品、レース生地の製品に合わせて使われることが多いようです。

このページのトップに戻る


げんこつボタン

組み紐ゴム芯入りの紐で大きな結び目を作り、それをボタンとしたものです。殆どの製品は芯にゴムが入ったレーヨンの紐で作られていますが、コットンやアバカ(マニラ麻のことのようです)の紐で作られた、素材感重視の製品もあります。

ボタン部分が二個になっていて、カフスに使われる場合も多い製品です。

紐が二色になっているものがあったり、何色かに色展開している製品が殆どです。

紐の芯にゴムが使われているため、染色にはある程度の技術を要し、取り扱いには注意が必要です。

チャイナ服のイメージを生かした製品に使われることが多いようです。また、シャツブラウスやメンズのシャツにもカフスとして使用されます。

このページのトップに戻る


チャイナボタン

一般のボタンのイメージとはかなり異なりますが、ボタンを取り扱う場合に忘れてはならないアイテムの一つです。

主にレーヨン、アクリル、ナイロンの繊維で出来た紐(この場合は組み紐ボタンげんこつボタンよりも太い紐です)で、装飾的な結び目を作り、それをボタンの替わりに使う、装飾的な要素の高い製品です。

結び目が強固に作られているわけではなく糸で纏って補強をしてある程度なので、どこかにひっかけたり、強く引っ張ったりすると形が簡単に崩れてしまいます。また、服に縫い付ける際にも、丁寧に縫い付けられていないと形が崩れるということもあり、取り扱いには細心の注意が必要です。

染色可能な繊維素材で作られていても、染料が染み込みにくい組み紐を、しかも、結んで作られているため、染色にはある程度の技術が必要です。また別注商品などで、作り込みが甘いと染色中に型崩れを起こします。

チャイナボタンは結び目が複雑で、手芸を趣味にされている方なら作ることは不可能ではありませんが、大量生産できるほどの技術を持った職人さんはもはや国内には少なく、メーカーの在庫が切れると、納期が非常にかかります

(かく言う私も別注サンプルを自分で作った事がありますが、10個でまる一日かかってしまいました:笑)

このページのトップに戻る



インデックスに戻る

5.その他

ボタンはアクセサリー(この場合はコスチュームジュエリーと呼ばれるようなものを指します)以上に素材が多様で、大きな分類に当てはまらないながらも重要なものが多種、あります。

実際には、欧米で中世の頃からあるような美術工芸品に使われている素材は、ほぼ、全てボタンの素材になっていると考えても大袈裟ではありません。

このページのトップに戻る


パール(IP:pearl)

ここで言うパールとはイミテーションパールを言い、略号もその頭文字をとってあります。

ボタンに使われる場合は、殆どの場合、単体としてよりもパールをパーツとして接着し、組み合わせボタンとして製品化されています。

但し、例外的に鈴丸ボタンという形で単体の製品として扱われる場合もあります。

ボタン用のパールは一般に、ユリア樹脂の芯にパール箔を混入した塗料を塗り重ねてあります。塗料の重ねる回数、そのあとの磨き(磨きパールと呼ばれています)などで、価格納期が変わってきます。

パールには表面の色合い、凹凸感などで、

など、非常に多彩なものがあります(ここに挙げたのはほんの一部と考えて下さい)。

パールの塗装面は非常にデリケートで、染料によって色はつきますが、染色の過程で塗装面の耐久性が極端に下がり、また、太陽光、紫外線によって色が極度に褪せるなど、不良品になってしまうため、パールは基本的に染色不可製品として扱います。

また、接着パーツとして使われるパールですが、塗装面が剥がれやすいため、強度の高い接着剤を使用するだけでは、トラブル、クレームの原因になるので、接着剤の選択接着加工の方法には細心の注意が必要です。

このように非常に取り扱いが難しい(そのわりに業界では注意が払われていないのですが)パールですが、表面の光沢感に独特のものがあるため、婦人服にはなくてはならない素材です。

なお、若干、表面の素材感は犠牲になりますが、アクリル樹脂などのインジェクション素材にパール調塗装を施した製品が出てきてます。

また、徴をアクリル樹脂製のパールも存在します。これは染色が可能で、しかも接着しても塗装面が剥がれてしまうことがないという特もっています。

このページのトップに戻る


ガラス(GL:glass)

現在、一般の婦人服で使われることは非常に少なくなりましたが、最高級ボタンの素材の一つです。輸入ボタンなどでは、現在でもよく見かけます。

ガラスは、その重量感、硬質な感覚、冷たい手触りなど、ジュエリーに近い感覚を持った素材です。

しかしながら、その取り扱いは、それに相応しく、細心の注意が必要で、糸穴のかど型の継ぎ目、などがするどいために、縫い付けた糸が簡単に切れてしまったり、服地に傷を付けてしまうということがあります。

また、輸送などで衝撃を受け、かけてしまったりすると、かけた部分は剃刀のようになるため、そういう場合も、縫い糸を切ってしまう、服地を傷つけてしまう、ということがあります。

高価な割に取り扱いが非常に難しいため、今ではインジェクション素材にとって替わられつつある素材ですが、高級フォーマルウェアなどに使われることがあります。

このページのトップに戻る


七宝(CL:cloisonne)

英語表記の筈の部分は、実はフランス語です。

七宝焼きは、銅と亜鉛の合金で銅の成分が多い丹銅の上に水で溶いたガラスの粉末を置いて模様を付け、高温で焼いたものです。一般にはアクセサリーで使用されますが、希に、最高級ボタンに見られます。

金属部分にボタン足を付けて単体ボタンとしたり、ボタンのパーツとして使われます。

一般のボタンに比べ生産性が低く高価なため、現在ではエポキシ樹脂で代用されることが殆どです。

このページのトップに戻る


ラインストーン(RH:rhinestone)

ラインストーンはクリスタルガラスをダイヤモンドのようにカットした小さなガラスパーツを指します。

オーストリアドイツで作られるものが透明度、輝き、カットの正確さの点で良いと言われています。

ボタン単体でも製品化されていますが、その場合はガラスボタンとして分類されます。この場合は、ボタンのパーツとして使われるものを指しています。

ガラスはダイヤモンドど屈折率が違う為に、ダイヤのように底光りがありません。そこで、底の部分に鏡のように銀が貼ってあります。一般に接着パーツとして使われるラインストーンですが、ガラスが本来重い素材であること、そして、この、底に銀が貼ってあることのために、接着強度はどうしても強くなり得ないという欠点があります。

というのは酸化しやすく、過酷な環境下にあると、底光りが酸化して黒ずんでしまうというのも、注意を要する点です。

ラインストーンはボタンパーツとして使われる場合、多くは、小さなパーツを複数接着するため、接着加工に要する費用を考慮しておかなくてはなりません。

また、ガラスですから、万一、欠けてしまったら、糸、服地を切ってしまいますので、取り扱いに注意が必要です。

このように、取り扱いの難しい素材ですが、ボタンの上の小さな輝きは他の素材で代用することは、現在では難しいでしょう。

このページのトップに戻る


インデックスに戻る

This site and
graphics on that
are produced by
Yoshiyuki "
Dr.K" Takano.

(C) Yoshiyuki "Dr.K" Takano,
CIPHER DESIGNS,
1997-2005